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山を登るユート達一行。
「クリス、付いてこなくて良いのに……」
「一応、パーティのメンバーですし、同行しますよ」
「そうか? ま、良いけどね」
ユートも強く戻そうとはせずに、再び歩を進める。
山はなだらか斜面となっており、さして歩き難いと言う事も無い。
オマケに、そこら辺を見てみれば、食べられそうな草や木の実の成った樹が幾らでも有った。
「盗賊の所為で、これらもまともに摘めない訳か」
盗賊としては良いアジトといったところだろう。
王都から程よく離れている上に、商都が直ぐ傍に在るのだから襲いたい放題で、オマケに喰い詰めても食べ物がそこら中に在るのだ。
雨露を凌げる洞窟と云う名の家まで完備されているとなれば、正しく至れり尽くせりの環境なのだから。
「ある意味、スッゴい恵まれた環境じゃね?」
取り敢えず、盗賊なんてしなくても食うには困らないだろうし、そこらに生えている山菜や薬草を商都へ持って行って売れば、服なども買えるから働かなくても済みそうだ。
前世でこんな環境があったなら、会社になんて勤めなくても暮らせたのに……
等と、社会不適合者さながらの思考に陥るユート。
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