プロローグ

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※※※ 入学式から早一ヶ月……僕は夜の住宅街を走っていた。 一ヶ月前から日課にしたランニングの最中である。 あやめ先輩と付き合う条件があやめ先輩より強くなるなんて、どんだけ無茶な条件なんだよ。 雅人から「無理だから止めとけ」と散々言われたけど、どうしても諦められない。無理の一言で諦めるには、僕はあやめ先輩に惚れ過ぎちゃっていた。 僕の説得を諦めた雅人が考えてくれたトレーニングメニューをこなし、確かに僕は一ヶ月前とは比べ物にならない位強くなったと思う。 塵も積もれば山と成る! 千里の道も一歩から! そう自分に言い聞かせて頑張っていたけど…………正直言って、半分……十分の九……百分の九十九位、くじけそうになっていた。 それだけ、あやめ先輩の強さは際立っていた。 塵は積もる前に風で飛ばされるだろうし、千里の道も素人では途中で行き倒れてしまう。 それでもトレーニングを止めないのは、あやめ先輩に対する思いに他ならなかった。 今日から走る距離を延ばすから、普段の道とは違う道を走っていると、道路脇に小さな社が建っているのが見えた。 僕は別に信仰深い訳じゃないけど、出来る事なら何でもやっておこうと思って、ジャージのポケットから財布を出して賽銭箱に十五円を入れた。
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