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話した感じ、悪い人(?)ではなさそうだけど、
「結構ですので帰って下さい」
得体の知れない相手にこれ以上係わり合いたくなかった。
「何故じゃ! 儂が人間の願いを聞くなど、三年に一度しかないぞ!」
「……オリンピックより頻度高いですね」
僕のツッコミに、仙華さんは渋い顔になる。
「顔に似合わず厳しいツッコミじゃの」
「……ほっといて下さい」
正直言って、顔の事は僕にとって大きなコンプレックスだ。
童顔で女みたいな顔をしているし、身長も男子で一番低い。
昔、クラスメートの女の子に「山岡君ってやっぱり『受け』?」と聞かれた日の夜は、涙で枕を濡らした。
「とにかく、僕は自分で努力するんで……」
「無駄じゃな」
再度断ろうとした僕の言葉を、不敵な笑みを浮かべた仙華さんが遮った。
「如月あやめとお主の力の差は歴然じゃ。あんな道をえっちらおっちら走っても、千年経ったところでその差は縮まりはせんぞ」
仙華さんの指摘は、ずっと僕の心にくすぶっていた思いをそのまま形にしたものだった。
……というか、
「何で仙華さんがあやめ先輩の強さを知ってるんですか?」
その事の方が驚いた。
「ん? ちょいとお主の頭の中を見せて貰っての……」
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