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仙華さんの弟子になると、すぐに家の庭に連れ出された。
家が古いから、庭は今時の住宅よりずっと広い。大体テニスコート位の広さはある。
「最初に言っておくがの……」
着物の襟を直しながら、仙華さんは僕と向き合った。
「今のお主には儂の特訓は耐えられん。二秒で死んでしまうぞ」
「……それってただの殺害ですよね?」
「そこでじゃ!」
「あ、無視するんですね」
「最初は儂以外の者に協力してもらう」
仙華さんの提案に、思わず目が丸くなる。
「え? 仙華さん以外のって……やっぱり妖怪ですか?」
僕の質問に、仙華さんは仰々しく頷いた。
「当然じゃ。儂は顔が広いから、いろいろな妖怪が力を貸してくれるぞ」
自信満々にその豊満な胸を張る仙華さんに、僕は恐る恐る手を上げた。
「……なんじゃ」
「妖怪って自分勝手に生きてるってイメージがありますけど、ホントに協力して貰えるんですか?」
「フム……」
仙華さんは難しい顔をして、腕を組んでしまった。
「確かにのぉ……あやつら、飲み会にも参加せん程自分勝手じゃからな」
「エェッ! 妖怪同士で飲み会なんてあるんですか!?」
僕の驚きを全く無視して、仙華さんは腕を組ながら首を傾げた。やがて、名案が浮かんだのか、花が咲いたかの様な笑顔になった。
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