プロローグ

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これも『一目惚れ』って言うのかな? ※※※ 小学校からの親友、如月雅人〈きさらぎまさと〉と一緒にこの天神高校を進路に選んだのは、単に家から徒歩十分という近さからだった。 何故か最初は渋っていた雅人も、他に行きたい高校も無かったので結局は天神高校に入学する事になった。 そして入学初日、真新しいブレザーに袖を通し、見慣れないクラスメートと一緒に、体育館で入学式を受けていた僕は……生まれて初めて電気ショックみたいな衝撃を受けた。 『これから君達は高校生活という新たなステージに立つ。それは……』 新入生全員に注目されて尚、その人は臆する様子を微塵も見せず、堂々と『生徒会長の言葉』を演説していた。 腰まである艶々の黒髪。鋭い中にも優しさを秘めた瞳。整った顔のライン。女性にしては背が高いけど、制服の上からも分かる均整の取れた身体。 全てが僕には眩しく見えた。 可愛いより美人。美人より凛々しい。凛々しいという表現がピッタリ当て嵌まる人だった。 鈴の音の様によく響く生徒会長……如月あやめ先輩の声を聞きながら、軽くトリップしそうになって、 (如月ッ!?) 先輩の名字に驚いて隣の雅人を見ると、バツが悪そうな顔をして指先で頬を掻いていた。 「姉貴」 雅人は僕にだけ聞こえる様に呟いた。
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