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「えぇぇぇぇぇッ!?」
「馬鹿ッ!声がデカイ!」
思わず叫んでしまった僕の口を、雅人が慌てて塞ぐ。
一斉に注目を浴びてしまったけど、その中には生徒会長も含まれていた。
鋭い、非難するような視線ではあったけど、生徒会長と目があった瞬間、僕の心臓は十六年の人生の中で一番激しく脈動した。
それでも生徒会長はすぐに視線を戻し、演説を再開する。
睨まれてショックではあったけど、あの瞬間、生徒会長は僕を見ていた。それだけで何だか嬉しくなってしまう。
「オイ……」
隣の雅人が脇腹を肘で小突いてきた。いつの間にか、生徒会長に見とれていたらしい。
「何?」
「姉貴に惚れるのは自由だけど、止めといた方がいいぜ」
「なッ……!?」
また叫びそうになったのを、今度は自分で抑える。
「何で分かったの?」
同じように小声で返すと、雅人は唇の端を上げてニヤッと笑った。
「伊達に何年もお前のダチやってねぇよ」
平然とそんな事を言う雅人に、こっちの方が恥ずかしくなってしまう。
それでもその事は態度に出さず、一度咳ばらいをしてから改めて雅人の方を向いた。
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