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「でも、どうして?」
「それは……」
『私の話は以上です。何か聞きたい事はありますか?』
雅人の言葉を遮るタイミングで、生徒会長は話を締め括った。
普通の神経ではここで質問するなんて考えられないけど、やっぱり空気を読めない奴というのは何処にでもいる訳で……、
「ハーイ!」
最前列にいた違うクラスの奴が手を挙げた。
お世辞にも、頭が良さそうには見えない。
『それでは君、何が聞きたいのですか』
生徒会長は手を挙げたそいつに顔を向けた。
「ハイ! 生徒会長に彼氏はいるんですか!?」
「ッ!?」
体育館中の空気が凍り付いた。まさか入学式の最中に、生徒会長にそんな馬鹿な事を聞く奴がいるなんて……。
『……それは、君に何か関係がありますか?』
予想外の質問だった筈なのに、生徒会長は少しも怪訝な顔にならずに聞き返した。
「あります! 生徒会長に彼氏がいるか気になって勉強が手につきそうもないです!!」
……ホントに頭が悪い質問だ。ただ、僕もそれは気になっている。
呆れながらも、実は少しはだけ感謝したい気持ちもあった。
『フム……私の交遊関係が何故君の勉学に影響を及ぼすか分からないですが、いないとだけ言っておきます』
『彼氏はいない』
生徒会長が言ったその言葉は、僕には賛美歌に聞こえた。
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