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※※※
「雅人ッ!」
入学式も終わり、雅人と二人で教室に戻る途中、後ろから誰かに声を掛けられた。
この声は!?
驚いて振り向くと、そこには生徒会長が立っていた。
「あんたねぇ、式の最中に騒いで私に恥かかさないでよね」
式の時とは随分印象が違う気がしたけど、よく考えたら当たり前か……新入生の前の生徒会長役と、家族の前での素が同じ訳ない。
「悪かったよ。つーか、騒いだのは俺じゃなくて竜也の方だろ!」
雅人の方の態度は変わらない。
「なぁにぃ……お姉様に口答えするつもりぃ?」
手をワキワキさせながら雅人に近付こうとする生徒会長。多分くすぐるつもりだろう。
「止めんかッ! 竜也が見てるぞ」
「……竜也?」
雅人に言われて初めて、僕の存在に気付いたみたいだった。
……自分の存在感の無さに涙が出そうだった。
それでも、生徒会長に真っ直ぐ見つめられると、何だか恥ずかしいやら緊張するやらで……顔が赤くなってしまう。
僕の赤くなった顔を凝視した生徒会長は、急に何かを思い出したみたいに僕の手を取ってブンブンと上下に振り出した。
「君が竜也クンか! 弟がいつも世話になっているな!!」
そう言って、とびきりの笑顔を見せてくれた。
「……え?」
生徒会長が僕の事を知っていた事に驚いてしまった。
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