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「雅人から話は聞いているよ。愚弟だけど、これからも仲良くしてね」
改めて微笑まれると、僕の顔は更に赤くなってしまった。
「わ…分かりました、如月先輩……」
「如月じゃあ雅人とかぶるねぇ。それじゃ、特別に君には私を『あやめ先輩』と呼ぶ事を認可しよう!」
冗談めかした感じではあったけど、確かに生徒会長……如月あやめ先輩はそう言ってくれた。
「……わ…分かりました。あ……あ…あやめ先輩……!」
「ん、よろしい」
僕が『あやめ先輩』と呼んだ事に満足したのか、あやめ先輩は僕の手を離して肩をバンバンと叩いた。
「ようこそ竜也クン! 我が高校へ」
叩かれた肩は少し痛かったけど、あやめ先輩と知り合えたこの高校を、僕は好きになっていた。
「オイッ!」
そんな幸福感を打ち消す様に、野太い声が廊下に響いた。
驚いて声のした方を見ると、そこには天井近くに頭がある、筋肉の塊みたいなヒゲ面の男がこっちを……あやめ先輩を睨んでいた。
「さっきの式で言ってた事は本当か!?」
窓がビリビリと震えるデカイ声に、僕も雅人も耳を塞ぐ。怒鳴ってるというより、単に声が大きいだけみたいだ。
「入学式の時? 何かおかしい事言った?」
あやめ先輩は首を傾げながら雅人を見た。
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