プロローグ

8/16
前へ
/912ページ
次へ
「姉貴の好みのタイプは、姉貴より強い奴とか何とか……ってやつの事じゃないの?」 雅人は耳を塞いでいるにも関わらず、あやめ先輩の言った事をちゃんと聞き取れていたみたいだった。 「ああ、それなら本当だよ。私は強い男性が好きだからね」 あやめ先輩の言葉に、その大男はニタリと笑った。 「それじゃあ俺と付き合って貰うぞ!」 「……何でよ」 大男のあまりに一方的な物言いに、初めてあやめ先輩の顔が曇った。 「あんたより俺は強いからだ!」 大男がそう言うと、あやめ先輩の目が驚いた様に丸くなった。そんな表情も僕にとっては魅力的に見える。 しばらく驚いていたあやめ先輩は、やがてその大男の全身をジロジロと観察を始めた。 「…………まだ身体が出来てないわね。もっと鍛えたら勝負してあげる」 「何だと!?」 あやめ先輩の言葉を侮辱と取ったのか、その大男は僕とは違う意味で顔を赤くして、あやめ先輩に掴みかかってきた。 「あやめ先輩、危ないッ!」 とっさにあやめ先輩を庇おうとしたけど、雅人に制服の襟を捕まれて近付けなかった。 「離してよ雅人! あやめ先輩が危ない!!」 手をばたつかせて文句を言ったけど、雅人は襟を離さないで逆に二人から僕を遠ざけた。 「危ないのはお前の方だよ」 「え?」
/912ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41595人が本棚に入れています
本棚に追加