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「姉貴の好みのタイプは、姉貴より強い奴とか何とか……ってやつの事じゃないの?」
雅人は耳を塞いでいるにも関わらず、あやめ先輩の言った事をちゃんと聞き取れていたみたいだった。
「ああ、それなら本当だよ。私は強い男性が好きだからね」
あやめ先輩の言葉に、その大男はニタリと笑った。
「それじゃあ俺と付き合って貰うぞ!」
「……何でよ」
大男のあまりに一方的な物言いに、初めてあやめ先輩の顔が曇った。
「あんたより俺は強いからだ!」
大男がそう言うと、あやめ先輩の目が驚いた様に丸くなった。そんな表情も僕にとっては魅力的に見える。
しばらく驚いていたあやめ先輩は、やがてその大男の全身をジロジロと観察を始めた。
「…………まだ身体が出来てないわね。もっと鍛えたら勝負してあげる」
「何だと!?」
あやめ先輩の言葉を侮辱と取ったのか、その大男は僕とは違う意味で顔を赤くして、あやめ先輩に掴みかかってきた。
「あやめ先輩、危ないッ!」
とっさにあやめ先輩を庇おうとしたけど、雅人に制服の襟を捕まれて近付けなかった。
「離してよ雅人! あやめ先輩が危ない!!」
手をばたつかせて文句を言ったけど、雅人は襟を離さないで逆に二人から僕を遠ざけた。
「危ないのはお前の方だよ」
「え?」
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