プロローグ

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雅人が言った意味を理解する前に、校舎全体が揺れる炸裂音がして、大男は後方に吹っ飛んでいった。 「え?」 大男は五メートル位吹っ飛んで、その後廊下をボーリングの弾みたいに転がって行く。 その間もスピードは衰えず、逃げ遅れた見物客をピンみたいに薙ぎ倒しながら、ようやく壁に激突して止まった。 「え?」 あやめ先輩は大きく腰を落として、左拳を突き出して姿勢で静止している。 「また……つまらぬ者を殴ってしまった」 何処かの時代劇みたいな台詞を言いながら、ようやくあやめ先輩は構えを解いた。 「あ~あ……」 「生徒会長に勝負挑むなんて」 「あいつモグリか?」 「新入生は怖い物知らずだな」 「単に知らないだけだろ」 「武神・如月あやめの伝説を」 「え?」 何だか、人だかりが物騒な事を言ってる。 「……これが姉貴を諦めた方がいい理由」 雅人は僕の襟を離しながら、頭を掻いた。 「姉貴は……地球最強の生命体って言われてるぜ」 ………………えぇぇぇぇぇッ!! 山岡竜也……運動能力五段階で三。 喧嘩経験……ゼロ。 格闘技経験……ゼロ。 如月あやめ……運動能力五段階で百。 喧嘩経験……約千戦無敗。 格闘技経験……二歳から独学で修業。十歳の時に当時、武神と呼ばれていた格闘家に「あの子儂より強くねぇ」と言われ、武神の名を譲り受ける。 僕があやめ先輩に勝つ確率と、マンボウの卵が成長する確率(約数億分の一)って、どっちが上何だろう?
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