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☆14
「いま自宅にいるんだよ。」
わざと嘘をついてみた。
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単なる勘なのか、それとも何かしらの方法でわたしの行動を把握しているのか…。
どちらにしてもなんだか気味が悪い。ところが…、
「おいおい~、源ちゃん…。嘘はつかないでくれよ嘘は…。」
すかさずわたしの言った事を否定する信ちゃん。
「確かにわたしはいま家に…。」
ところが、その時電話の奥から信じられない声が聞こえたのだ!
「やめてぇぇ〰!!」
!!いまの声は春枝!?…まっ、まさか!!
一瞬で血の気が引く。
「なぜかって…?いま私が源ちゃんの家にいるからだよ!ヒッヒッヒ。」
「春枝になにをした!!」
しかし、わたしの質問に彼は答えず、一方的に話を進める。
「一足遅かったみたいだなぁ~。まぁ勝手に土足で上がりこんじゃったが…。許してくれよ源ちゃん、幼なじみのよしみでさ。ヒッヒッヒ!」
土足で家の中に…!?バカなッ!
電話の奥からは引き続き、妹の泣き叫ぶ声が聞こえている。
そして『信治』の他にも複数の男の話し声が…。
「おっと、警察はダメだぞぉ~!話したらお前の妹と母親は血まみれになっちゃうからね。…なぁ!げ・ん・ちゃん!!ヒャハハッ!」わたしは力いっぱいの握り拳をつくり、太ももを何度も何度も叩いた。
痛みも忘れ、怒りに我を失い拳を叩きつける。
その様子をバックミラー越しに見ていた運転手が心配そうな顔で、
「あのぅ~、どうしたんですが?警察…行ぎましょうが…?」
と声をかけてくれたのだが、それだけはまずい。
「……い…いや、大丈夫。」
と言う他なかった。
今あの男を刺激してはまずい。
1人ならまだしも他に複数の共犯者がいる。
下手に動いたら本当に妹達は殺されてしまうかもしれない。
「…わたしは何をすればいい。」
信治の望みはなんだ。
☆20に進んで下さい。
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