94人が本棚に入れています
本棚に追加
━源太の日記━
☆2
11月24日 天気(雪)
周りの村からは『悪魔の住む村』と言われていた。
ぼくはこの村が大嫌いだ。
早くこの村から出て行きたい。
母ちゃんと妹と一緒に…。
母ちゃんも妹も抜け殻みたいだ。
あいつが憎い!憎い!憎い!!
:
:
12月8日 天気(曇りのち雪)
役場の人が2人、家にやってきた。母ちゃんに、
「この村にはもう住めねぐなったよ。」
と言って紙を手渡す。
国がこの村を廃村にする決定をした。
住む場所や仕事は国が面倒をみてくれるみたい。
やったぁ!ぼくの願いは早く叶えられた。
友達なんかいらない!!
遠くへ…出来るだけ遠くに行きたい。
:
:
3月2日 天気(晴れ)
ぼくは母ちゃんと妹と一緒に宮城県にいた。
松島はとてもいいところ。
さわやかな潮風と松島のきれいな景色。
母ちゃんは漁港で働きだし、ぼくも学校が終わると母ちゃんの手伝いをするようになっていた。
父ちゃんがいない分、ぼくが母ちゃんを支えていかなくちゃ!!
母ちゃんも妹も、ほんの少しだけど明るくなった気がする。
:
:
:
それから数年後、日本は戦争に敗れ終戦を迎えた。
その頃にはぼくが住んでいた村は地図上から完全に消えていた。
.
☆3へ進んで下さい。
.
最初のコメントを投稿しよう!