━悪魔の住む村━

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☆20 母との約束 ---------------------- わたしが沢松村に行く決心をしたのは、寝たきりの『わたしの母』の切なる願いからであった。 わたしの母は今年96歳。 最近は食欲もなく、おかゆをわずかに食べるのみ…。体も急激に衰え、寝返りをうつことも困難になっていた。 もう長くはないのかもしれない。 : : 先に他界した父の分も一生懸命働き、わたし達兄妹を育ててくれた母。 『沢松村』の事件から、わたし達家族は喜び…そして幸せを失っていた。 …そんな家族をひとつにした母のたくましさ。 気丈に振る舞い、いつも笑顔。涙はひとつも見せなかった。 そんな母に何度元気づけられただろう。いまのわたし達がいるのもすべて母のおかげなのだ。 『ありがとう…母さん。』 わたしは母の為に出来る限りの事をしてあげたい。 もう二度と来ることはないと思っていた『沢松村』に、再びやってきたのは、最後になるかもしれないわたしの親孝行なのだ。 わたしは母から預かったものをカバンから取り出した。 ☆23に進んで下さい。 .
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