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☆25
「このまま『沢松村』に向かって下さい。」
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もうすぐ村に着く。
せっかくここまで来たのだから。
…しかし、信ちゃんの言った事も気になっていた。
“あいつらが待ち構えている”
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タクシーはクネクネした山道を上り、最後にあの右カーブを曲がると、三体の地蔵と『沢松村』に続く林道が見えてくるはずだ。
!!
その時、道の真ん中に人が立っているのに運転手が気づき、タクシーのスピードを緩める。
完全に道をふさいでいる格好なのだ。
立っていたのは二人の男女だった。
運転手は軽くクラクションを鳴らすが、どんどんタクシーが近づいているのにも関わらずその二人は微動だにしない。
ついにタクシーは停車した。
二人の男女はまったくの無表情でタクシーのわたし達を見つめている。
「なんなんだべが?あのふだりは!」
怒りをあらわにする運転手。
「文句言ってきますんで、ちょっと待ってで下さい!」
運転手がタクシーから降りて二人に近づき始めた……時だった!
「うぎぁぁ〰ッ!!」
ボキボキッという鈍い音がしたかと思うと、運転手の両腕があらぬ方向を向いている!
それを見つめる男がニヤリとした。
「いでぇ〰よぉ〰!!」
両腕をダランとさせる運転手…。苦悶の表情を浮かべヒザをついて座りこんだ。
運転手の両腕は、骨の存在を感じさせない。
タコ足のようにグニャグニャしていた。
一体、運転手の身に何が起きたというんだ!
「あっ、開かない!」
わたしはうめき声をあげてうずくまる運転手に手を貸そうとタクシーから降りようとしたがドアがどうしても開かないのだ!
「死ぬのは…恐いか?」
運転手を見つめていた男がつぶやいた。
☆30へ進んで下さい。
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