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☆28
怪しい人影
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「大丈夫か!源太ッ!!」
俺は便所小屋を目前に尻もちをついていた『源太』を引き起こした。
見たところ『源太』にケガなどはなさそうだ。
「どうしたんだ源太!!なにがあった!?」
震える『源太』に問いかける。
「影が…、人影があの竹やぶの奥に!!」
『源太』は便所の向こうに広がる竹やぶを指差した。
人影…?
こんな時間に竹やぶを歩いている奴なんていないだろう。
「猪かキツネと見間違えたんだろ。」
辺りは真っ暗闇…。恐らく『源太』は何かの動物と人間とを見間違えたはずだ。
「ううん!違う!!動物なんかじゃないよ!確かに人間だった!!手に何か持って竹やぶを歩いてたんだ!!」
俺にしがみつきながら『源太』が叫ぶ。しかし『源太』を疑いたくはねえがこの時間に人なんて…。
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…でも待てよ?
ひょっとしたら、さっき俺の家で話し合った連中の誰かが、竹やぶの中でうろついているのかもしれない。
「お~い!!誰か居るのか~!?」
俺は目を凝らしながら竹やぶへ向かって呼び掛けてみるが、闇の中で動く物を見つけることはなかった。
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「…まあいい。とりあえず便所に入れ。俺がここで見ててやるから。」
「どこにも行かないでね!」
『源太』が便所に入っている間も俺は竹やぶを注視したが、風にふかれ竹がざわめくだけで気配はまったくない。
動物…、人間…。
『源太』が見たのは一体、何だったのだろうか。
★33へ進んで下さい。
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