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━悪魔の住む村━
☆3
青森のとある山道を走る一台のタクシー。砂利の敷かれた舗装されていない山道。
それでも昔に比べると道端は広くなって走りやすくなりましたよ、と運転手。
わたしは車窓からの景色を黙って見ていた。
晴れ渡った青い空が、憂鬱(ゆううつ)なわたしの気持ちをかろうじておだやかにしている。
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実はタクシーの運転手にハッキリとした目的地は告げていない。
目的地の名前を出したら変な目で見られるか、やめたほうがいいと言われるに決まっている。
若い者にはわからないだろうが、六十は越えていると見られるこの運転手が、消えた村の事を知らない訳がないだろう。
だからわたしは、
「その十字路を左に曲がって下さい。」
とか、その都度走る道を運転手に伝えながら目的地へと向かっていた。
★4へ進んで下さい。
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