━悪魔の住む村━

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☆5 運転手が詳しく尋ねてきた。 ---------------------- 「…『沢松村』に行くつもりなんじゃないのがい?」 運転手の問いかけに、わたしの身体が思わずビクッと反応してしまった。 ごまかそうと、いろいろ言葉を考えていた最中にズバリを言われたからである。 何十年ぶりだろうか…家族以外の人の口から『沢松村』の名前を耳にするのは。 「いっいや、そうではない。この先に知り合いが住んでいて…。」 「お客さん、そんなみえすいだ嘘、ワシに言っても無駄だべさ。この辺りに民家は一軒もないんだがら…。」 運転手はクックッと笑い声を圧し殺しながら言う。 やはりすでにバレていたのか…。 「テレビがなんがで『沢松村』の事ば知って、興味本位で行ごうどする観光客が多いんだよ。わしらタクシードライバーやバスの運転手、役場の者達もそういう人には『そんな村聞いたこともない』ってとぼげるようにしでるんだ。」 バックミラー越しから運転手が話を続ける。 「ここら辺は観光客が来るようなどごじゃない。『沢松村』の場所を知ってる者じゃなげればね…。」 運転手の目が鋭さを増した。 ☆7へ進んで下さい。 .
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