†闇に揺らぐもの

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  目覚めたのは すべてを瞬時に焼き尽くす黒炎の中   それなのに《熱》を感じない。 自分自身が黒炎そのものだからなのか…?   俺を、愛を知らぬ幼子と賢者は言った。 賢者に与えられた偽物の家族。くすぐったいゆらぎがそこにあって …俺は少しだけ眠れた。       だが繰り返し見る 何度も俺を呼ぶ冷たい声 体に刻まれた支配の記憶        感動の無い暗闇の中、虚ろに眺めた蝋燭の赤い揺らめき。   美しい、と思った。 触れたら温かいのかもとさえ。   触れれば消えることがわかっていたから…触らなかった。     ただ、憧れていたかった。 《熱》に 《身を焦がすもの》に そして 《ぬくもり》に       身動げばゆらりと炎が応えて揺れた。 そんなことすら嬉しくて。 乾いた声であえぐふりして笑った。   闇の中で。  image=268320003.jpg
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