第二章

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待ち合わせ場所のゲームセンターは、いつのまにかパチンコ屋に変わっていた。 昔はみんなでよく行った懐かしのゲームセンターがパチンコ屋に変わってしまっていたので、僕は少しだけ寂しく感じた。 待ち合わせの時間より五分早く杉村がやってきた。 僕は胸ポケットからセブンスターを取り出して、一本だけ杉村に差し出した。 「久しぶりだなぁ杉村、北海道どうだった?」 と質問した僕を無視して、杉村はセブンスターに火をつけた。 「パチンコがやりたくてよ」 と杉村は言った。 「でもお前、昔よく行ったゲーセンで待ち合わせしようぜって言ってなかったか?」 と僕は言った。 杉村は笑った。その笑顔はまだあどけなく、どこかしら何かを恐れているような独特の笑顔だった。 それは中学生の頃から変わっていない。
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