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僕は転校生だった。
中学二年生の春に転校してきた。
だから中学二年生の一学期からの同級生が、僕の不良仲間だった。
僕たちはいつも五人で帰宅した。
親や教師は、校内唯一の不良集団に入ってしまった僕を、どうにかして抜け出させようと躍起になっていた。
転校してきて一週間もたたないうちに、僕は不良の仲間入りをしたのである。
「不良ってのは世の中に矛盾を感じて苛立っている人間のことをいうんだ」
加地という友達は、そんなことを言った。
「人の苦しみや孤独を、俺たちは感覚で捉えることができる。それは無邪気な子供と同じ感覚の世界なんだよ」
「そうなのか?」
と僕は言った。
「そうだよ。だから今夜俺に付き合え」
と加地が言った。
それはまったくもって突飛だった。
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