第一章

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その夜、僕らは黙ったまま、集合場所の加地の部屋で気を張り詰めていた。 男ってのはバカな生き物だと言った加地の言葉の意味を僕は考えていた。 でも、僕にはその言葉の意味が理解できなかった。 時間になり、加地は僕らを引き連れて公園まで歩いた。 野原と西本がやってきたのは、僕らにとっては絶好のタイミングだった。 今すぐにでも飛び出して西本に殴りかかることができそうな、そんな気合いの入ったタイミングだったのだ。 西本は街頭が照らす薄暗い公園で、野原の肩を抱いていた。 二人でロマンチックに星空を眺めている。 ボソボソと声は聞こえるが、二人が何を話しているのかは聞き取れなかった。 二人は急に歩き出した。 そのまま路肩に止めていた車に乗り込み、二人はどこかへ行ってしまった。
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