447人が本棚に入れています
本棚に追加
「何も、なかったな」
僕らは、あっけにとられていた。拍子抜けをした感じだった。
加地だけは、ずっと走り出して消えていった車を、じっと見つめて動かなかった。
翌朝、僕が学校に行くと、高原という不良仲間の一人が、黒板に落書きをしていた。
中学生の男子がする落書きなんてワンパターンだ。
「おい高原!変なマーク書くなよ」
そう言ったのは、同じく不良仲間の杉村だった。
「なぁ、これ見たくねぇ?」
と高原。
「バカ!早く消せよ」
と杉村。
「もう一つ書いたら消すよ」
と言って、高原はそれをもう一つ書いて慌てて消した。
担任が来たからだ。
「バカもいい加減にしねぇとモテねぇぞ」
さりげなくそう言ったのは、新田だった。新田も不良仲間の一人である。
最初のコメントを投稿しよう!