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「金色の座布団を探してきなさい」
いきなり姉がそんなことを言い出した。
誰か止めてくれ。
「聞こえなかったの?金色の座布団を探してきなさい。探して持って帰ってくるまで三食抜きよ」
訳が分からない。金色の座布団を何故必要としているのか。何故急にそんなことを言い出したのか。
そうこう考えている間にも姉の機嫌はどんどん悪くなっている。
「どういうこと?」
「だから、金色の座布団を探してきなさいって言ってるでしょ!!」
こっちの質問に答えようともしない。いつもこうだ。自分の考えを無理やり突き通す。人の話は都合の良いところしか聞かない。『私中心に世界を回したい』などと恐ろしいことも口走っていた。
「ちゃんと説明してくれねぇと探せねぇよ」
「それもそうね」
また機嫌が悪くなるかと思ったが、納得したらしい。
そうしてくれないと困る。こっちは金色の模様の座布団なのか、全体が金色なのか、中身が金色なのか、というところから大きさ、形、という重要なことも知らないのだ。そこんとこの説明は必要である。
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