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「礼(レイ)も来なさい」
礼というのは俺の弟だ。ずっと分厚い本を眼鏡をかけて隣の部屋で読んでいたらしく、隣の部屋から眼鏡と分厚い本と冷めたコーヒーが一口分だけ入っているカップを持って出てきた。
2人が姉の前に座る――機嫌のよろしくない姉の前では常に体操座りをする必要があるので体操座りをする――と姉が説明した。
「金でコーティングされている四角い全身金色の座布団を探してきなさい。それを売り払って私の借金を返します。以上。何か質問はあるかしら?」
ありまくりだ。全く説明になっていない。
金色の座布団の姿とそれを探す理由は分かったが、その座布団がある場所と姉の借金を返す為に俺たちが動く必要があるのかが分からない。
それにそもそもそんな座布団見たことも聞いたこともない。一体どこからそういう情報を仕入れてきたのだろう。
意を決して俺は手を挙げた。
「その座布団はどこに……?」
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