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年季の入った小さなビルの屋上。
雲により殆ど姿を消した月を見つめている白のワンピースを着た少女が、そこで静かに呟いた。
「人々は、もう『あの惨劇』を忘れようとしている……」
黒色のショートの髪が、緩やかな風でふわっと浮き上がる。
「私ならもう一度……『あの惨劇』を甦らせる事が出来る……」
彼女は悪魔のような笑みを浮かべながら、屋上から下の風景を見下ろす。
道路を走る自動車。
夜の街を騒ぎながら、たむろう男女。
平和を象徴しているかのような、日常の景色が広がる。
「潰してやる。私の作り上げた『一夜限り』で」
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