不安定な第一章

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以上(異常)。女子13人、男子15人の自己紹介だ。 いやー、気詰まりだね。長かった。 …そのわりに名前と顔が一致するかどうかかなり怪しいが。 ま、みんな同じだろうし。行く行く覚えていけばいいだろう。 栗原の話を右から左で考えていたのはそんな事だった。 現在栗原教諭はガイダンス中だ。在学中の諸注意とやらを話している。 携帯は持って来る分にはいいが使用は禁止、自転車置き場の正しい使い方。等々。 そんなもんさっき配った紙に書いてあるって…。 ぽい、と退屈の塊を放り投げるように席の特権でもある窓の外を眺める。 この高校がわりと高めの位置、小高い丘の上に有るため、そこからは小ぢんまりとした我が町が見下ろせた。 やけに目立たない消防署。 わりと大きな幼稚園。 学校帰りに寄るにちょうど良い商店街。 セレブリティ溢れるマンション。 それら全てが駅を中心に広がっていた。現在は11時程なので人がまばらだが、そのうちわらわらと出て来るだろう。 町から目を上げると、そこには頂上付近に霞を纏った山に魅入られる。 …………はふぅ……。 この学校選んで良かったかもな。立地条件がぱーふぇくつじゃないか。 向こうに見える雲なんか…。 「おい海大、帰るぞ」 「にぇあ?」 後ろを振り向くと、しゃがみ込んだ水輝が居た。 教卓を見るも誰も居らず、すでにLHRが終わったのだろう事は安易に想像がついた。 「……そうだな」 まどろみに半分突っ込んだ頭を起こして椅子から立ち、朝のように水輝シールドを張ると、隠れるように二人で教室を出た。
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