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ただの『隣の席の人』じゃない…のか?
いや、もしかしたら水輝の知り合い…………ではない、か。
水輝の顔に隠し切れない動揺が残っている。
じゃあ………?
「次はーーー片山ーーー片山ーーー」
……アナウンスが耳障りで仕方ない。
誰か、鈍足な俺の脳の回転速度をどうにかしてくれ。
「気をつけぃよー?もしかしたら、あと少しで死ぬ…かもよ?」
「……て」
「………………?」
よし、声が…出る。
「…待て、あんた、何者だ?」
「天使だにゃにゃー」
「扉が閉まります。お気をつけください」
ばたん。
アナウンスが流れ、扉が閉まる。
「「………………………」」
絶っっっ句。
「…にべもねぇ」
ぽつりと呟いた台詞。
どちらが言ったのかも、俺にはもう分からなかった。
揺れる夕日に照らされた小さな電車が、二人を家へと運んで行く。
「…………え?」
水輝の未だ理解が追いついていないと伝える声がわりかし近くから耳に届いた。
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