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家の近く。
住宅街。
小さな街灯に照らされた道を水輝が反対側に渡って行く。
「じゃあな、水輝」
「あぁ、また明日な」
道の端から小さく水輝のウィスパーヴォイスが届く。
……ウィスパーって何だっけ。
まぁどうでもいいか。
しかし、向こうの駅近くのゲーセンと自宅付近のゲーセンを渡り歩いたのは間違いだったかな……。
空は暗くなり、今いる住宅街には人がいない位の遅い時間になってしまった。
それに、少し疲れた……。
向こうもそんな事を考えているのか、太陽が有った方角を少し見やり、今姿を見せている月を眺めていた。
……月。
人によって姿を変える、月。
ウサギ。女の横顔。それと……。カニ、だったか?
アイツの目に月はどう映るのだろう。
少し気になった。
「……………………」
「…………どうした?」
気が付くと、隣に水輝が居た。
「……や、月見てた」
「………そか」
それからしばらく、月の観賞会は続く運びとなり、またしばらくして家路についた。
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