不安定な第一章

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そうそう。 幻想だと思ったせいで大分紹介がおくれましたが(誰にだ)、彼女は隣の家に住んでて、別の高校に進学した幼馴染みです。 …え?知ってた?あ、そう。 ちなみに名前は 神野 朋美(カンノトモミ) と言います。 で、その幼馴染みに土下座してる自分はなんなんだよ。 「……頭上げていいですか?」 「良いもなにも海大が勝手にやったんじゃない」 …いや、気迫に負けたというか…。ま、いっか。 立ち上がると、すかさず朋美が汚れた膝の辺りをぱしぱしと叩く。 「…………………」 ちなみに、ここで『いいよ自分でやるから』とか言うとなんか起きそうだから言いません。 危険ですから。多分。 「…よし、と。んじゃ、ご飯食べよっか」 「…そだな」 ちなみにここで何故俺の家にお前がいるんだよ! まずそこから話せ!などと叫ぶという具の骨頂な行為はしない。 俺の家は昔から、正確には中一の頃からこうだったからねぃ……。 理由としては。 両親は八時か九時くらいまで仕事、小五の妹と弟は早く帰るのだが、俺が部活で遅くなると夕飯が定時の七時に間に合わなくなる。 とそこで朋美の両親とうちの両親が話し合って出た結果が『朋美の家が早めに夕食を作り、そして朋美家の夕食を朋美が俺の家な持って来る』 というもの。 「ちょっと待ってね、すぐ温めるから」 その結果がコレである。 「ふんふーんふーん♪」 すっかり主婦気取りの上機嫌だ。 ま、実際助かってはいるのだから文句は言えず…、今に至る訳だ。 ちなみに彼女もカテゴリとしてはヤンデレに分類されるので、 「ちょっと待て」 「ふぇ?」 「料理にその怪しい小瓶は必要なのか?」 「あちゃー……ばれたか」 油断は禁物であったりする。 でもまぁ、大分弱い症状のようなので大丈夫だろう。 「仕方ない…じゃあこっちを」 「待て」 気をつけさえすれば。
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