不安定な第一章

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「あーさーだよー♪」 「……なんだ、ドリームか」 目が覚めた時に最初に目に飛び込んだのは、樹の最上級スマイルだった。 さり気なく寝返りを打ってささやかな反抗をする。 「あとfive minuets……」 「もー、学校遅れちゃうよー?ただでさえ前より行くの時間がかかるのにー」 とはいえ眠気には何ものも敵わないのだよ……。 「おやすみー……」 こんにちはドリームランド。 できれば違う夢が良いなぁ……。 「早く起きてよー、兄ちゃんも朋美さんもー」 がばぁっっ!! と布団を吹き飛ばす勢いで上体を起こす。 「おま……今なんて……」 そのまま鋭い勢いで振り向いて確認……するまでもなく。 その人物は体に纏わりついていた。 腕を強く俺の上半身に巻き付け、さり気なく…もなく、超密着状態。 胸がないのは幸いなのだろう。少なくとも俺にとっては。 さてどうしてくれよう。 「おーい、起きろ。起きなさーい」 ぴしっ。 とりあえず刺激を与えない程度にでこピンで樹に代わり起こしてやる。 いやそもそも俺が起こすべきなのだろうが。 「ぅにゅら……朝?……もう……」 「起きなさいこるぁ」 あと文的にその台詞なんかおかしいぞ。 「………ん……おふぁよ」 あーもう。 怒っていい?怒るよ? あーー! 「おはよじゃねぇーー!」 「おぉ、兄ちゃんが珍しく怒った!」 ええ怒りますとも。 朝だからぴりぴりしてるのも手伝って。 「………んぇ?」 「そして朋美さんもまだ事の重大さに気付いてない?!」 朝っぱらからめんどくせぇなもう。 そんなもーにん。ばっどもーにん。 …て、言ってる場合じゃないな。 「起きろーーーーー!」 ~~~~~~~~~
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