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四月五日。
今日、高校生活が始まりを告げようとしている。
これからは、どんな生活が待受けているのだろう。
一足先に友人を待ちつつ、そんな事を校門で考えて俺は独り小さくうなだれていた。
憂鬱、不安、そんな言葉が重圧としてのしかかってくる。
(せめて…、せめてこの学校では女運に恵まれますよーに…)
今までは本当に災難だった。
みんな寄ってたかって寝首を狙ってくる学生生活、…もとい。人生を想像してみろ。
あぁ…。思い出したくも無い記憶が渦を巻いて襲って来る。
心が現在と過去、板挟みだ。
「憂鬱だ…あぁ憂鬱だ…憂鬱だ……」
それはもう、思わず積年の思いで一句詠んでしまうほどに。
「何朝っぱらから川柳なんか詠んでんだよ」
虚ろな心を必死で満たそうとしていると真横から声がかかった。
この声は…。
「…細川 水輝(ホソカワミズキ)。長年の友人であり、俺の苦労を誰よりも知っている男。ちなみにこの高校には同じ中学の生徒は男子しかいない。それというのも…」
「ちょっと待て。…なんだ?お前熱でもあんのか?」
「…熱が無かったらそれは死人だ。俺は生きてる」
「そりゃあそうだが…大丈夫か?…頭とか」
あぁ。流石水輝。フォローはバッチリだな。
俺が生きてるのはこいつのお陰と言っても良い。
「ひふははひひひひひひ」
「…変な笑い方すんなよな。気味悪い。ほら、早くクラス分けの表見に行くぞ」
「…そうだな」
校門の真ん中に突っ立ってるから辺り一体からの視線の雨も凄い事になってることだし。
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