1471人が本棚に入れています
本棚に追加
靴を新品の上靴に履き替えると、俺は水輝に前を歩かせて盾にしながら四組の教室を目指した。
リノリウムの床が二人分の不思議な音を奏でる。
「…お前ってホント小心者だよな」
振り向かずに水輝が言った。
…仕方ないだろうよ。それだけの事があったんだから。
「なんとでも言うがいいさ」
程無くして一年四組に到達する。
教壇側の入口では数人の女生徒が集まって会話をしていた。…なんかあまり中学と変わらんな。
その反対側の扉へと女子近くを通らないように回り込み、教室内へと足を踏み入れる。
「なぁ海大、この盾役意味あんの?」
どうだかな。
経験上『何かしら関係をつくった女子』が〇〇〇〇(考えたくも無い)な訳だから、知り合わなければ安全でも有るかもしれない。
まぁそんな判定知った事では無いが。
黒板に貼られた座席表によると俺の席は後方窓際だった。
しかもこのクラス――学校かもしれない――は女子が不足しているようで隣は空席。
かなりラッキーだ。
ガッツポーズもそこそこにかさかさとゴキブリライクなスタイルで移動完了。と同時に、おそらく担任であろう教師が教室に入って来る。
それから少しばかりして全員が廊下に並ばされ、入学式へと直行。
せわしないね。
……ちなみに水輝の座席は同じ列の一番前だった。
ご愁傷様です。
~~~~~~~~~~
最初のコメントを投稿しよう!