胸ニ思フ

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――死に遅れた。 ただ、漠然とそう思っていた。 己を律し、駆けた日々を後悔してはいない。 だが、 何を成した? 何を遺した? 幾夜を跨いでも答えは見つからず、気が付けば梅の香も届かぬ果てに立つ。 今は郷愁に吹かれし想いから目を逸らし、ひたすら“死に場所”だけを探していた。
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