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~リナ視点~
「はぁ!?酔い止めの薬が無いって、何でなのよ!!」
ルークの船酔いを治す為、私は船長に酔い止めの薬を貰いにきた筈だった。けど……その薬が、船長は無いと言った。
「私達は船乗りだ。船酔いなどしてたら、仕事ができないだろ?」
「確かにそうだけど……酔い止めの薬くらい、置いてても良いんじゃないかしら?」
「いや……確か一人だけ、酔い止めを持ってる奴がいた」
その酔い止めを持ってる人の名前は、ギィラという旅人らしい。私達と同じカグレア島を目指し、この船に乗船する事になったらしい。
「そのギィラっていう人ってさ、銀髪でシッポみたいな一つ結びした男の人?」
「おぉ、もう知り合ってたか!!」
「ここに来る時、偶然甲板で見かけただけよ……」
「ハッハッハッ!!!!そうだな、ギィラは薬剤師らしくて……。それで色んな薬を持っているみたいだから、酔い止めくらいは持ってるさ!!!!」
船長の言っていたギィラに会う為、私は部屋を出た。その私の目の前に現れたのは、さっき話していたギィラだった。
「ぁ……」
「ギィラ……よね?お願い、酔い止めを持ってたら頂戴!!」
「……別に構わないけど、条件がある」
ギィラはそう言った瞬間、私の頭を撫でてきた。同じくらいの身長なのに、そんな事されるのが嫌と感じた。
「俺も……一緒に旅をさせてくれ」
「別に構わないわ。だから……ほら、酔い止めを早く頂戴!!」
そうしてギィラから酔い止めを受け取り、ルークのいるデッキへ向かった。
『イグゾルト……この餓鬼が派遣員なの?』
『確かもう一人いた筈です。ユーラスティア王国の王女リナ……』
扉の前まで来た時、知らない男女の声が聞こえてきた。そして扉の隙間から見えたルークは、ボロボロになって倒れていた。
「ルーッ……!!んーーっ!!」
「……リナ静かに。あの二人の狙いは君だ。……俺が行くから此処で待ってて」
ギィラが私の目の前から消えた瞬間、ルークが天井から落ちてきた。
「テレポート……こんな高等術、初めて見たわ……」
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