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「女好き…か。」
ならば女の格好をすればすんなり入れるんじゃないか?
しかしそこまでしたくない。
ふと隣の席に座っている女を見る。
どうやら友達同士で来たようだ。
話し声が聞こえてきた。
「ねぇ。聞いた?あそこの屋敷の人、今度宴を開くそうよ。」
「えぇ。お金持ちはいいわねぇ。」
「しかも女人大歓迎って貼紙が。」
「えぇっ。女なら自由に参加出来るってこと?!」
「そうよ。しかも影亘様の目に留まれば…妾になれるそうよ!」
「本当に?ずっとお金持ちでいられるわけ?」
「そうなのよっ。あんた、行くでしょ?」
「行く行く!で、いつ?」
「明日の晩よ。」
「わかったわぁ。」
緋華はしめた。と思った。
あの大名の目に留まれば…こんな楽な仕事はない。
緋華は急いで団子を流し込み、銭を娘に渡した。
「ご馳走さま。また来るよ。」
「いつでも来て下さいね。」
緋華は茶屋を後にした。
町へ行き、呉服屋を見回る。
なんとしてでも美しい格好をしなければ。
金は後で幕府に請求すればいい。
緋華は花柄の着物、蝶のついた着物など色々見て回る。
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