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見張りの男が二人立っていた。
男たちの話し声に耳を澄ます。
「ったくよー。影亘様はいいよなぁ…色男だし、金持ちだしな。」
「確かになぁ…あーぁ。オレもあんなべっぴんさんと杯(さかずき)交わしてぇなぁ。」
男たちは女たちを見ては指をさし、あの女がいいだの会話をしていた。
緋華は男たちに近づく。
「すみません。影亘様は何処へ?」
「あ…?こりゃあべっぴんさんだなぁ。」
「…本当だ。」
「あの…影亘様は…」
緋華が話すと男の一人が緋華の肩に触れた。
緋華は一瞬ビクッとしたが、なんとか耐えた。
「なぁ、影亘様なんかよりオレらと遊んでくれよ。」
「は?ふざけるな。貴様ら雑魚に用などないわ。」
緋華は男の手をはたいた。
「ち…このアマっ!」
思い切り腕を捕まれ、痛みが走ったが、緋華は男を蹴り飛ばした。
「私に触れるなっ!もうよい。自分で探す!」
緋華はスタスタと屋敷の中へ入っていった。
中は華やかに彩られ、大広間を覗くと、巻物に載っていた男がいた。
(あれが影亘…。)
緋華は部屋へ入り、適当な場所へ座る。
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