第一章

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見張りの男が二人立っていた。 男たちの話し声に耳を澄ます。 「ったくよー。影亘様はいいよなぁ…色男だし、金持ちだしな。」 「確かになぁ…あーぁ。オレもあんなべっぴんさんと杯(さかずき)交わしてぇなぁ。」 男たちは女たちを見ては指をさし、あの女がいいだの会話をしていた。 緋華は男たちに近づく。 「すみません。影亘様は何処へ?」 「あ…?こりゃあべっぴんさんだなぁ。」 「…本当だ。」 「あの…影亘様は…」 緋華が話すと男の一人が緋華の肩に触れた。 緋華は一瞬ビクッとしたが、なんとか耐えた。 「なぁ、影亘様なんかよりオレらと遊んでくれよ。」 「は?ふざけるな。貴様ら雑魚に用などないわ。」 緋華は男の手をはたいた。 「ち…このアマっ!」 思い切り腕を捕まれ、痛みが走ったが、緋華は男を蹴り飛ばした。 「私に触れるなっ!もうよい。自分で探す!」 緋華はスタスタと屋敷の中へ入っていった。 中は華やかに彩られ、大広間を覗くと、巻物に載っていた男がいた。 (あれが影亘…。) 緋華は部屋へ入り、適当な場所へ座る。
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