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影亘の周りにはたくさんの女が集まっていた。
影亘に寄り添う女、影亘の手を握る女やさまざまだった。
(これは近づくのは難しい…か。)
緋華は影亘を見た。
一瞬、影亘がこちらを見たような気がした。
気のせいか?と思い、目の前に置かれた杯を飲み干す。
「ふぅ…」
気づくと目の前に影亘がいた。
「な……。」
「美しい方だ。ぜひ今宵はこの屋敷に泊まっていってほしい。」
願ってもないチャンスだった。
緋華はすかさず微笑み、
「そうさせていただきます。」
と軽く会釈した。
周りの女どもは、「何よー。あの女ァ。」などと緋華に悪態をついた。
もちろん緋華には関係のないことだが。
そして宴も終わり、皆が散り散りに帰ってゆく。
影亘に言い寄る女もいたが、影亘は軽く受け流していた。
緋華は影亘に呼ばれ、薄暗い部屋で待たされていた。
(これくらいの薄暗さなら、小太刀も見えないだろう。)
緋華は影亘が来るのを今か今かと待ち続けていた。
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