第一章

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「お待たせしました。」 影亘が部屋へ入ってきた。 緋華は小太刀をすぐ抜き取れるよう帯を少し緩めた。 「お待ちしておりました。影亘様、私を選んだ理由をお聞きしたい。」 「一目惚れ…と言ったら信じてくれますか?」 (…こいつ若いくせにいけしゃあしゃあと…) 緋華は一瞬殺意を覚えたが冷静になろうと自分の太股をつねった。 「あ…あははっ。影亘様って冗談も言うんですね。」 「冗談に聞こえました?」 「い…っ。」 影亘が緋華に近寄る。 緋華は思わず後ずさる。 顔もやけに近くもう緋華は限界に近づいていた。 「…かい…」 「どうしました?私が顔を近づけたから驚きましたか?」 「近いんだよ!!!!!!」 緋華は渾身の力で影亘を殴った。 影亘は部屋の襖を突き破り、廊下まで吹き飛ばされた。 「私をその辺の女子と同じだと思うな!」 緋華は小太刀を鞘から抜いた。 どうやら影亘は気を失っているようだった。 「ふん。男のくせに頼りがいのないヤツだ。」
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