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「ま、待ってくれ!!!金ならいくらでも出す……!!
だから…!!!」
男は目の前の人物に命ごいをした。
地面にはいつくばり、顔をあげ、額の汗が男の頬をつたう。
「貴様の戯言など聞きとうない。大人しく死ねば良いのだ。」
そいつは鞘から刀を抜き、男の前に刀を突き付けた。
「ひ、ひぃっ!!!」
男が情けない悲鳴をあげ、体を起こし、逃げようとした。
しかし一瞬首のあたりに鋭い痛みが走った。
「え?」
男は何が起こったかわからず、そのまま逝ってしまった。
首を落とされたのだ。
男の鮮血を浴び、平然とその場に立つ人物。
名を緋華という。
長い髪を丁寧に縛っていた。
現在でいうポニーテールだ。
刀を鞘に納め、男の首を拾う。
「ふん。成金風情が。」
緋華は悪態をつき、側にあった真っ赤な花を見た。
緋華は赤色が大嫌いだった。
女が自分を着飾る時は赤が多く、紅を唇に塗ったり、赤色の着物を好んだりしていた。
緋華は女である自分が嫌いだ。
男に腕力で勝てないことなどとうの昔に知っている。
だからこそ男の格好をし、男のように刀を扱う。
そうすれば誰にも咎められることはない。
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