第一章

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「ま、待ってくれ!!!金ならいくらでも出す……!! だから…!!!」 男は目の前の人物に命ごいをした。 地面にはいつくばり、顔をあげ、額の汗が男の頬をつたう。 「貴様の戯言など聞きとうない。大人しく死ねば良いのだ。」 そいつは鞘から刀を抜き、男の前に刀を突き付けた。 「ひ、ひぃっ!!!」 男が情けない悲鳴をあげ、体を起こし、逃げようとした。 しかし一瞬首のあたりに鋭い痛みが走った。 「え?」 男は何が起こったかわからず、そのまま逝ってしまった。 首を落とされたのだ。 男の鮮血を浴び、平然とその場に立つ人物。 名を緋華という。 長い髪を丁寧に縛っていた。 現在でいうポニーテールだ。 刀を鞘に納め、男の首を拾う。 「ふん。成金風情が。」 緋華は悪態をつき、側にあった真っ赤な花を見た。 緋華は赤色が大嫌いだった。 女が自分を着飾る時は赤が多く、紅を唇に塗ったり、赤色の着物を好んだりしていた。 緋華は女である自分が嫌いだ。 男に腕力で勝てないことなどとうの昔に知っている。 だからこそ男の格好をし、男のように刀を扱う。 そうすれば誰にも咎められることはない。
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