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緋華がしばらく歩くと大きな屋敷の前に着いた。
華やかな遊女達が緋華を見つける度に声をかける。
「お侍さん、遊んでく?」
「馬鹿言うな、私は忙しい。」
そう言って、遊女に生首を見せ付けた。
「なんだぁ、お侍さん色男だから、たっぷり遊んであげようと思ったのにぃ。」
遊女はちょっと待っててね。と言い、屋敷の奥へ入る。
しばらくすると中から30代くらいの女が出てきた。
「いらっしゃい。緋華。待ってたよ。」
「うむ。」
緋華は女の後に続き、屋敷へ入って行った。
中は随分騒がしく、男達の笑い声、女達の喘ぎ声などが響き渡っている。
そして1番奥の部屋へ入った。
「さぁ、座んな。」
女が緋華に座るよう促すと緋華は座った。
「さてと、緋華、首よこしな。」
「ほら。」
ゴロッと首が転がった。
「おい緋華。商品なんだからもっと丁重に扱え。」
女がぶすっとした。
「蛍、私だって遊郭なんぞ来たくないんだ。わざわざ貴様の頼みを聞いてやっているのだぞ。少しは感謝しろ。」
「ふん。小娘が大口叩くんじゃないよ。あんたなんか、現実を見れない臆病者じゃないのさ。」
緋華がカアッとして立ち上がり、刀を抜き、蛍の首に突き付けた。
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