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遊女が嬉しそうに近づいてきた。
「あぁ…」
「ムッ。その女の人、お客さんの連れ?」
遊女が怪訝そうな顔をして、女を睨む。
「道で苦しそうにしゃがみ込んでいた。蛍はまだいるか?」
「また女将?はぁ…」
遊女はしゅんっとした。
「どうした?早く案内してくれ。」
「たまには遊んでってくれてもいいんじゃあないの…??」
遊女が悲しそうな目で緋華を見つめる。
「…興味ない。」
「どうして?!私、お客さんにこんなに来てほしいって思ったの初めてなのよ!?」
遊女が緋華の襟をギュッと掴んだ。
「ねぇ!!お客さん、私…お客さんのこと…」
緋華がちらっと女を見た。
まだ苦しそうな女を放っておけはしない。
かと言って、遊女も放っておけない。
「…ふぅ。わかった。わかったから、蛍のもとへ連れて行ってくれ。」
「…ついて来て。」
遊女はぐずりながら、緋華を蛍のもとへ案内した。
部屋の前まで来て、緋華が女に聞いた。
「体…まだ苦しいか?」
「…えぇ…。」
「中へ入って、蛍という女に薬をもらえ。わかったな?」
「はい…」
女は戸惑いつつも、部屋へ入った。
「さてと…お前が普段遊んでいる部屋は何処だ?」
「お客さん…来てくれるの?」
「あぁ。指切り…しただろう?」
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