第五章

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緋華の真剣な眼差しがなんだか春花には哀しく感じた。 「お前は…男に体を買われ…辛くはないか?」 緋華の問い掛けに春花は自信を持って答えた。 「私は男に体を買われてるんじゃない。売ってあげてるのよ。生半可な値段じゃなくて、高額で。 それくらい私は安い女じゃないし、私だって客を選ぶ。 緋華…貴女は逃げた。女である自分から。女であることのせいにしている。 本当は貴女…とっても弱い人間なのね。」 春花は緋華を抱きしめた。 「…春花…すまない」 「もういいわ。」 春花は緋華から離れ、ニコッと微笑んだ。 「いつか素敵な殿方と一緒になってね。」 「…それは無理な話だ。」 緋華もニコッと微笑み、部屋から出た。 「待って。」 「なんだ?」 春花は簪を緋華に差し出した。 「貴女にあげる。」 「…私には似合わないさ。」 「そんな事ないわ。貴女がいつか…自分を越えられるように。」 緋華は簪を受け取り、深呼吸をして、部屋から出た。 「いつか私も人を愛せるだろうか…?」 緋華はボソッと呟いた。
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