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「お前…今…なんと…!?」
緋華は女の肩を掴み、問うた。
女はおどおどしながら答えた。
「私の娘の名前は緋華と言うのです。そうですね…今は貴方と同じくらいの歳でしょうね。」
緋華はへなへなと座り込んだ。
「あら…貴方…どこかでお会いしました?」
「いや、人違いだろう。」
緋華は俯き、黙った。
もし今目の前にいるのが自分の母なら…
何故私は母の顔を思い出せない。
どうして……?
「ちょっと…」
蛍が緋華の腕を引っ張り、部屋の外へ連れ出した。
「あの女…本当にあんたの母親なのかい?
にしては気品が足りないような…」
「わからぬ。私自身覚えておらんからな。」
「名前が一緒だとか?」
「…わからぬな。そうだ。母上は確か私に名前の由来を教えてくれた。あの女が私の母上ならきっと答えられるはずだ。」
「そうかい。じゃあ由来を聞いてみるか?」
「あぁ。」
二人はまた部屋へ入り、座った。
先に口を開いたのは蛍だった。
「あんたの娘、緋華っていうのかい。変わった名前だね。由来は何なんだい?」
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