第一章

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「あたしを殺すかい?どうせあんたには出来やしないよ。」 蛍が緋華を睨み付けると、緋華は舌打ちをし、座った。 「たまにはうちの遊女達とも遊んでやってくれよ。あんたなら、安くしとくよ?」 「女など興味ないわ。」 「あらそう?女達の喘ぐ声といったら…そりゃあもう…」 「そんなの芝居だろ?」 「芝居でも客は喜んでるさ。」 「ふん。馬鹿な男どもだな。」 「…あんたが男に興味がないって言うから、女に興味があると思ってたよ。」 蛍は懐からキセルを取り出した。 ふぅーっと煙を吐き出すと巻物を緋華に渡す。 「仕事か?」 「あぁ。」 巻物の紐を解き、中身を見る。 「大名…かい。」 「影亘(かげのぶ)。最近、幕府に盾突く野犬さ。」 「自分の手は汚さず…か。小癪な。」 「まぁ良いじゃないのさ。それであたし達は金がたんまりもらえるしね。」 「六割は私だ。」 「もちろん。手を汚してるのはあんただからね。遊郭でも充分稼げる。」 蛍がニヤッとした。 緋華が舌打ちをする。 「食えないやつだ。」 「あんたもね。」
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