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「あたしを殺すかい?どうせあんたには出来やしないよ。」
蛍が緋華を睨み付けると、緋華は舌打ちをし、座った。
「たまにはうちの遊女達とも遊んでやってくれよ。あんたなら、安くしとくよ?」
「女など興味ないわ。」
「あらそう?女達の喘ぐ声といったら…そりゃあもう…」
「そんなの芝居だろ?」
「芝居でも客は喜んでるさ。」
「ふん。馬鹿な男どもだな。」
「…あんたが男に興味がないって言うから、女に興味があると思ってたよ。」
蛍は懐からキセルを取り出した。
ふぅーっと煙を吐き出すと巻物を緋華に渡す。
「仕事か?」
「あぁ。」
巻物の紐を解き、中身を見る。
「大名…かい。」
「影亘(かげのぶ)。最近、幕府に盾突く野犬さ。」
「自分の手は汚さず…か。小癪な。」
「まぁ良いじゃないのさ。それであたし達は金がたんまりもらえるしね。」
「六割は私だ。」
「もちろん。手を汚してるのはあんただからね。遊郭でも充分稼げる。」
蛍がニヤッとした。
緋華が舌打ちをする。
「食えないやつだ。」
「あんたもね。」
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