第六章

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「あんた達、イチャつくのは勝手だけど他所でやってくれない?」 蛍がジーッと二人を見つめている。 緋華は慌てて葵を蹴飛ばした。 「私は別にだなぁ…!」 「あーはいはい。それよりさ、緋華、あんたの母親ほったらかしにしといていいの?」 「あ…っ。」 「隣の部屋にいるから、話してきな。」 蛍は襖を開け、緋華に部屋から出るよう促した。 緋華は部屋から出た。 「なあ…蛍さん。緋華のかーちゃんって?」 「ん?あんた何にも聞いてないのかい? あたしから言うのもなんだけどね…」 蛍は葵に今自分がわかっている全てを話した。 「緋華のかーちゃん…死んでんの?」 「そのはずなんだけどね。」 蛍は困ったような顔をした。 「緋華のヤツ…母親の顔が思い出せないらしい。」 「え?なんで?」 「さぁね。とにもかくにもアイツが母親の顔を覚えてねぇんじゃ、何にもわからないままだよ。」 (そっか…緋華のかーちゃんか…ってことは俺の義母になるってことだよな。) 葵は何か思いついたような顔をした。 「じゃー蛍さん、またね。」 「何処へ行く?」 「緋華のかーちゃんに挨拶しなくちゃ。」
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