第六章

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緋華の力が強くなる。 上目使いで葵を見る目は少女にしか見えない。 葵は吹っ飛びそうな理性をかき集め、緋華を押し戻した。 「緋華、お前…本気で言ってんのか?」 「あぁ。」 葵は気が動転していた。 まさか緋華が自分を好きだと口走るとは夢にも思わなかった。 「…すまない。私としたことが…自惚れていたようだ。葵なら私を好きだと言うと。」 緋華は立ち上がり、葵から放れた。 「ひ、緋華!」 緋華は葵に手を引かれ、その場に倒れた。 「葵…っ。」 「自惚れてんのは俺のほうだ!緋華…俺の事…嫌いって…」 緋華はゆっくり起き上がる。 「…そんな…そんな事…っ」 葵はグッと緋華を抱きしめた。 「緋華、好きだ。本当…夢みたいだ。」 「葵…夢じゃないさ。私もお前のこと…」 「緋華…」 「葵…」 二人は口づけた。 綺麗な月の夜… 二人は結ばれたのだった。
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