第一章

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緋華は立ち上がり、部屋から出ようとした。 「あんた、ここで働かないかい?その様子じゃ、経験なさそうだし。高く売れるよ。」 蛍は緋華の顎をクイッとあげる。 「可愛い顔してるんだからさ。」 「五月蝿い。斬るぞ。」 緋華は蛍の手を払い、部屋を出た。 「あらぁ、お侍さん。お話済んだぁ?」 先程話し掛けてきた遊女がまたも話し掛けてきた。 「あぁ。失礼する。」 「待ってよぉ。お客さんなら大歓迎だよ。」 「…すまない。またの機会に…な。」 「約束よ。ほら。ゆびきりげんまん。」 「…あぁ。」 緋華は遊女と小指を交差させた。 「♪ゆびきりげんまん、嘘ついたら、針千本飲ます、指切った。」 遊女は笑顔で去っていった。 緋華はふぅっとため息をつき、屋敷を後にした。 ―――――― 「ここが…影亘大名の屋敷か。」 緋華は目の前にある大きな屋敷を見上げる。 頭にすっぽりと被った布の隙間から見た。 「こいつも金が好きそうだ。」 緋華は屋敷から離れ、側にある茶屋へ入る。 「いらっしゃいませ。」 娘が話しかけてきた。 「すいません、団子を一つ。」 「かしこまりました。」 娘が店の奥へ入るのを確認すると、緋華は席についた。
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