第一章

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「ふむ。一体どうしたものか。」 店の中から屋敷を眺め、考えこむ。 あぁも守りが固くては、さすがの私もなかなか忍び込むことは出来ない。 いかにしてあの屋敷にすんなりと入り込むか…。 緋華はうーん。と唸り、頭を抱えた。 「お待ちしましたー。お団子です。」 娘がお茶と団子を緋華に差し出した。 「すまない。」 緋華は軽く会釈した。 「いいえぇ。お客さん、随分色男やわぁ。」 娘は頬を赤らめ、緋華に話しかける。 「いや…。」 「うふ。お客さん、さっきからあのお屋敷眺めとるようやけど…あそこに何か用事でも?」 「あ、いや…あそこの大名は随分と金持ちだそうだな。」 「えぇ。そりゃあもう。何せあたしらから税金巻き上げてますからなぁ。そりゃ嫌でも金が入ってくるやろなぁ。」 「何かあの大名の好きなものとか知りませんか?」 「はて…確か大層な女好きやとか。」 「あいつもか…これだから男は…」 「何か?」 「あ、いや…すまない。ありがとう。」 緋華が微笑むと娘は、はぁ~~っとため息を漏らし、ヨロヨロと店の奥に引っ込んだ。
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