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「ふむ。一体どうしたものか。」
店の中から屋敷を眺め、考えこむ。
あぁも守りが固くては、さすがの私もなかなか忍び込むことは出来ない。
いかにしてあの屋敷にすんなりと入り込むか…。
緋華はうーん。と唸り、頭を抱えた。
「お待ちしましたー。お団子です。」
娘がお茶と団子を緋華に差し出した。
「すまない。」
緋華は軽く会釈した。
「いいえぇ。お客さん、随分色男やわぁ。」
娘は頬を赤らめ、緋華に話しかける。
「いや…。」
「うふ。お客さん、さっきからあのお屋敷眺めとるようやけど…あそこに何か用事でも?」
「あ、いや…あそこの大名は随分と金持ちだそうだな。」
「えぇ。そりゃあもう。何せあたしらから税金巻き上げてますからなぁ。そりゃ嫌でも金が入ってくるやろなぁ。」
「何かあの大名の好きなものとか知りませんか?」
「はて…確か大層な女好きやとか。」
「あいつもか…これだから男は…」
「何か?」
「あ、いや…すまない。ありがとう。」
緋華が微笑むと娘は、はぁ~~っとため息を漏らし、ヨロヨロと店の奥に引っ込んだ。
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