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その後、国虎は安芸城に籠城するが、すぐに食料が尽きてしまう。
「早く決着がつかないものか・・・一条などがいつ攻めてくるか」
元親は戦の地にてもその持つ冷静さを崩さなかった。
「安芸の兵は頑強で忠実です。米が無くなったくらいでは、降伏はしないでしょう」
「某が安芸城の井戸に毒を放ちます」
元親、重俊が困り果てていたとき、横山民部という者が進み出た。
「毒を放てば、安芸の残党に恨まれ命さえ危ないぞ。それでも良いと申すか?」
重俊はなだめるように言った。
「某などの身寄りのない身、誰が心配などしましょうか」
「民部は申すこと、受け入れよう。だが、ここに其方の身を案ずる者がおることを忘れるな」
「勿体なき御言葉でございます、元親様。この民部、必ずや毒の計、成功させて参ります!」
民部は元親に一礼をし、城へと向かった。
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